妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

全日本ジムカーナ選手権の紹介 / All Japan Gymkhana Championship


生まれた家の稼業が自動車修理工場だった事もあり、小さい頃から、プロ向けの整備専門書や大人用の車雑誌を「絵本」代わりに育った僕は、自動車だけが関心の中心でした。そして、高校に入る頃には、車のモータースポーツ関係の本も定期購読する様になった一方、オートバイには 26歳で二輪の運転免許を取得するまで全く関心がありませんでした。
そんな僕ですが、四輪のジムカーナについて伝えるのと一緒に、四輪のジムカーナの気に入っている点と、課題だと思っている事などと、”YOKAI's Gymkhana” について伝えたいと思います。

 


全日本ジムカーナ選手権


日本で四輪ジムカーナが始まったのは、恐らく、戦後、横田基地などの米軍兵士たちが広い飛行場や駐車場で始めて(アメリカでオートクロスと呼びます)、やがて日本人も加わったりしたのが最初と言われています。
そして、日本国内の車台数が増えるのにつれて、少しずつ各地で開催される様になり、鈴鹿サーキット船橋サーキットが作られた 1960年代になると、マイカーで出来るモータースポーツとして一気に広がっていった様です。

そんな風に、全国各地で様々なジムカーナ大会が盛んに行なわれていた 1980年、JAF日本自動車連盟)が主宰して行なった、“日本一決定戦” 的な趣向で行なわれたのが 全日本戦で、当時は年に一回だけの大会でした。この全日本戦の開催により、全国各地でのジムカーナ熱は更に高まり、競技人口も増えた 1992年から、全国各地のコースを10戦ほど転戦して獲得ポイントで競う、全日本ジムカーナ選手権シリーズが開催される様になって現在に至っています。




【 2024 全日本ジムカーナ選手権  第1戦 】

今年、3月16日に開催された 第1戦の様子を紹介します。会場は、栃木県にある モビリティリゾートもてぎ の南コースで、全面フラットなコースで、コース全体は 奥行が 400m近くもある広大なエリアで、第一戦では その内  200m 余りを使っています。

 

 

では、PN4 クラスで優勝した、津川信次 さんで、車両は トヨタの GRヤリスの走行映像を、車内カメラ映像と コース外のカメラで撮影された映像を一緒にご覧下さい。

 

タイムトライアルコースは以下の様なレイアウトでした。


そして、タイム測定結果です。



 

【 気に入っている点 】

〇 厳格な車両規定と車検
僕が最も気に入っている点が、車両規定(レギュレーション)が明確に決まっていて、時にはエンジン分解を含めた車検により、参加者全員が公平な車両で参加できる点が一番気に入っています。
特に、最も参加台数の多い ノーマル車クラス(PE 及び PNクラス)は 改造が許されている範囲が狭く、エンジン改造や排気系(マフラー)の交換はもちろん、内装の取外しも出来ません。可能なのは、脚周りとホイールとタイヤ、そしてシートやシートベルト、ハンドルやボルトオンで装着できる LSD(ディファレンシャル)程度です。
しかも、タイヤについても、環境性能に適合したタイヤしか使えなくなり、従来の 公道用でも溝が少なくて浅い Sタイヤ や PNタイヤなどが使えなくなっています。
だから、改造レベルによってタイム差がつくのではなく、ドライバーの運転技術と車両全体のセットアップ技術によってタイム差が出る所が好きなところです。

 

〇 コース設定
次に気に入っている点は、比較的おおらかに設定されるタイムトライアルコースです。多少経験が少ないドライバーでも、時間は掛かっても、完走できると思わせるコースになっている点が気に入っています。
もちろん、速いタイムを出すには高等なテクニックが必要ですが、例えテクニックが無くても、公道を走行できる人であれば、縦列駐車ができる人であれば、完走できるコースである事は、モータースポーツの入り口の競技と言われるジムカーナではとても大切な事だからです。
だから、僕も、二輪のジムカーナコースを設計する際は、初心者ライダーや大型アメリカンバイクでも、必ず、完走が可能なコース設定を心掛けています。それは、ジムカーナで最も大切な事だと信じているからです。


〇 クラス分け
車輛メーカーが JAF に申請して、公認された車両のみが ノーマル車クラスで参加できますが、その公認された年度によって クラス分けがあります。更に、公認された年度が規定より古いと、ノーマル車クラスでは参加できない点は、モータースポーツ振興の点で当然だと思います。
その他に、排気量や駆動方式などでクラス分けがあり、特に面白いのは 電気式駐車ブレーキが装備されている車両だけのクラス分けもあります。
これらのクラス分けのルールは、多少理解し難い点もあると思いますが、全て モータースポーツ振興の為だと思います。その時、販売されている車両の特性や動向、モータースポーツへの適正などから、より広く多くの人が参加できるように、比較的頻繁にルール変更されているので、当然の対応だと思います。

 




【 課題に感じている事 】

〇 車両価格
ノーマル車クラスで参加する限り、ベースとなる車両の基本性能の高さが重要ですし、それに交換可能な部品として性能の良い部品が販売されている事が大切になります。
そういう理由から、クラスによって、特定の車両が参加車両の多くを占める現象が起きています。そして、それらの車両が比較的安価であれば良いのですが、決してそうではないのです。
例えば、リザルトで PE1クラスのトップの成績を収めている 山野哲也 さんの車両です。彼は、動画で紹介した 津川さんと同様に、35年以上 全日本クラスのジムカーナに参加し続け、しかもトップの成績を収め続けているので 日本のジムカーナ界の顔と言える人ですが、彼の乗っている車両は ルノーアルピーヌ A110R で、販売価格が 1500万円を超える車両です。そんな彼の影響もあり、約 1100万円の A110S を含めて、高額な A110が数多く占めている点が気になります。

〇 年齢層
若い参加者がいない訳ではありません。成績トップを占める人の新陳代謝が進んでいないのです。先に挙げた 山野さんが 今年で 58歳、津川さんも同様の年代で、彼らの様に長年続けている人がトップの成績を収め続けていて、一般的なスポーツの世界とは大きく違っています。
これは、ジムカーナが経験の差でタイム差がつく競技という側面もありますが、一度好成績を収め続けると、自動車メーカーを含めたスポンサーや、有力なメインテナンスショップ、そして 練習機会に恵まれる事もあると思いますが、最も望ましい状態だとは思えません。




【 最後に 】

以上、ジムカーナについて、思いつくままに紹介しました。 
皆さんの中には、車のモータースポーツだから、太いタイヤを履き、車高を低くしたり、排気音の大きな改造車を想像している人も少なくないと思いますが、実際には、街中で走っている車両と殆ど外観が変わっていません。却って、街中を走る改造車の方がずっと改造レベルが高い程で、スポーツとして当然の形だと思います。
これは、二輪ジムカーナでも同様であるべきですし、車以上に社会的な偏見を受けているオートバイであれば、それもナンバープレートを装着している車両であれば、尚更、外観もエンジン等もノーマルの車両を基本とすべきだと信じています。

現在、GRAを通じて ジムカーナ競技の開催は行なっていないのも、そういう強い想いの反動だったと自覚しています。ただ、いずれ、いつか機会が来れば、初級者の方も一緒に楽しめる形式で行なえるなら、”YOKAI's Gymkhana” として開催する夢も持っています。

 






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