妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

トラ再走計画・リアサスペンション編 (その5)「純正部品が一番!?」

トラ再走計画・リアサスペンション編、とことん最良をつきつめていたら、社外製部品(以後:社外部品)の思わぬ “ 落とし穴 ”  につまづいたから、その経験を書く事にしよう。
きっと、多くの人は知らない事があると思うから、是非、期待して欲しい。

まずは、“ 純正部品 ” と “ 社外部品 ” の違いから。


『 純正部品が一番 !? 』

オートバイ好きの多くは、最初から装着されてる “純正部品” を外して “社外部品” へと交換して、その “社外部品” が性能や機能向上に繋がっていると信じ、ステータスのように感じているだろう。

僕も、目立たたない部品を始めとして “社外部品” へと交換している個所は少なくないが、次の事ははっきりと言える。

「 純正部品は、オートバイの基本性能やバランスには欠かせない、最も最適化された部品だ 」と。

その理由は、純正部品はテストして検証されるレベルが高いからだ。
つまり、純正部品は単品で専用機器を使っての長時間のテスト&検証だけに留まらず、実際に車両に装着して、テスト&検証が専門職業とした人達がテスト専用の試験設備を使い、繰り返し繰り返しテスト&検証を行なっているからだ。


『 タイヤもマフラーも、サスペンションユニットも ?? 』

例えば、純正で装着されているタイヤは、例え市販されている同メーカーの製品と名称やトレッドパターンが同じでも、その車両のアピールポイントを伸ばして欠点を隠す様に、タイヤメーカーに試作させる幾つかの仕様から選んでいる製品だから、純正装着タイヤの方が全体のバランスがまとまっているのが普通だ。

だから、市販の同名称のタイヤや他の銘柄のタイヤに交換した場合、雑誌の評論家は決して書かないけど、オートバイ全体のバランスは純正タイヤの場合と較べると崩れていると言ってもよい。

が、市販タイヤはタイヤメーカーが膨大なテストを行なっているからまだ良いが、社外品のマフラーの場合はもっとバランスが崩れるのが普通だ。
純正のマフラーは、年々厳しさを増す排気ガスや騒音の規制をクリアしつつ、エンジン性能や燃費などオートバイ全体の性能バランスを、専用試験設備で繰り返しテスト&検証しているほど、車両メーカーの良心とも言える製品だ。

しかし、社外マフラーの場合には、最も品質の高いマフラーメーカーであっても、車両メーカーほどのテスト&検証を十分な期間をかけては行なわないから、騒音などの規制適合テスト以外、実走行テストを十分に行なってオートバイ全体での性能バランスを取っているとは決して言い難い。

けれども、マフラーの場合は検証しやすいからまだマシかも知れない。
それが、リアサスペションユニットとなると、社外品は十分な検証さえしていないから、更に具合が悪くて困りモノだ。


『 ユニットストローク量は 54mm 必要なのですが ・・・ ? 』

トラ君の本名(正式名称)は、2007年型 トライアンフ ストリートトリプルで、リアサスペンション周りのアライメント(部品毎の位置関係)を、同じフレームとエンジンブロックの レーサーレプリカ車(SS車)トライアンフ ディトナ675 の部品を流用して、デイトナ675 と同じにしている。

まず、純正仕様でのリアサスペンションの可動幅を確認してみた。
リアホイールの可動幅(ホイールストローク)で 130 mmになっていて、その際のサスペンションユニットのストローク量は、実物大の模型を作って確認してみると、「リアサスペンション編 (その3)」で確認したように、約 54 mm だった。
http://youkaidaimaou.hatenablog.com/entry/2016/11/16/224503

そこで、実際に純正部品でストローク量(可動量)を確認をしたのが下図だ。

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中央部の棒状の部分がピストンロッドで、ユニットが縮むとこのロッドの分だけストローク(縮む)のだが、このロッド(露出)部の長さが 約 51mm。そして、ロッド部が全てストロークした後でバンプラバー(通常はゴムやウレタン製)がユニット本体に当たって更に変形する量が 3mm と考えれば 合計 約 54mm と 実証できた。

そこで、サスペンションメーカーに 54mmストロークの製品をオーダーした。
そこは 2000年から使用しているメーカーで、部品の工作精度の高さや低速のストローク速度域での圧倒的なフリクション(摩擦)の低さから、ずっと一番のお気に入りのメーカーだったのに、返ってきた回答は ・・・

「 54 mm の ストローク の製品はできません 」だった。
製品一覧表には、トラ君は適合車種として載っているのに ・・・なぜ??

ここに、専門メーカーといっても、純正部品のようにテスト&検証していない実態が ・・・。
詳しくは、「 リアサスペンション編(その6)」で !!


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トラ再走計画 ・ リアサスペンション編 (その4) スプリング 到着 !

トラ再走計画、長らく休載でした。   すみません!

書ける事はあったものの、仕様が決まらない事も重なり、
近々、そのサスペンション仕様について報告する予定で、
きっと参考になる方も多いと思います。   お待ちください。


そこで、その思考錯誤の結果、スプリング が到着した事を報告   ♪
( スプリングレート : 600 lbs/inch )

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リアサスペンションに限った事ではなく、様々な個所で発生するフリクション(摩擦)はオートバイ本来の(純粋な?)動きを阻害し、コントロールを難しくするもの。

特に、サスペンションで発生しているフリクションというヤツは、知らず知らずの内に人間センサーを歪め、ライディングを低品質にしてしまうから要注意。

リアサスペンションで発生するフリクションは、スイングアームのピポットシャフト部のベアリング部、リンク機構のベアリング部、そしてダンパーユニットのピストンロッドとシリンダーユニットとのオイルシール部、同じくピストンとシリンダー間、ダンパーユニットの上下の取り付け部、そしてスプリング単体でもその伸縮時に発生するもの。

それらの解決方法は様々だけど、スプリングは簡単。
スプリング本体をより安定した性能を低フリクションで作動する品へ交換するだけ。

更に、スプリング起因のフリクションを低減させるユニットも導入予定。
近日中に、ここに至った経緯を報告の予定だから、是非! 期待を !!


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「 声 」を聴かない ライディング

オートバイの運転は、誰かに教えてもらっただけで、
それだけで上達するわけがない。
オートバイとの会話を覚えて、それで上達するものだ。

それは ピアノを演奏する場合と同じだ。
英会話の上達ともよく似ている。

しかし、操作方法を伝えても、会話を教える人は居ない。
教習所しかりだし、安全運転講習会でもそうだ。
 
「 ちょっとタイヤのエア圧低すぎるのですが  ~~ !! 」
「 フロントフォークオイル、とっくに賞味期限が ~~ !! 」
 
そんな、オートバイからの「 声 」を聴かず練習するとは、
調律が狂ったままピアノコンクールの練習に励むのと同じ。
でも、安全運転競技会の練習でさえそれは普通の光景だから驚く。
ピアノは人を殺さないけど、オートバイは違うというのにだ。

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責任と修練の毎日

「 お兄さん、此処では吸うなよ! 」
「 ネエさん、前向いて歩けよ! 」
      
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性格が悪いのだろうか、大人になりきれないのか、
通勤や仕事で街を歩く時、数回は注意する毎日だ。
 
不思議な事に昨日は一度も無かった。
でも、今日は日常が戻ってきた。
 
社会人の責任であり、修練の場と信じて毎日が続く。
  

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トラ再走計画 ・ リアサスペンション編 (その3) リンクプレートは ?

一歩進んでは、一寸(ちょっと)考える トラ再走計画。
前回(その2)、リアサスペンションのリンク比を決める大切な部品:リンクプレートが、デイトナ675 と同じではなかった事が発覚 !

小心者オーナーは考えた。
「 そうかぁ、1’G時(乗車時)からのフリクション感はこれが原因? 」
「 ユニットの仕様を決めるのはどっちのプレートに合わせる?」 etc ・・

でも、考えていても始まらないので次の一歩へと進むのみ。


『 原寸大モデルで考えた 』

実際に、実物大でサスペンション を作って、リンクプレートの違いでサスペンションの特性の変化を計測する事に。

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主な構成部品はサイズを正確に計測し、車体側のピポット位置の配置は車両側面図と実測値から割出し、2次元で作成した部品同士はピン(針)でリンクさせたモデル。

懸案のリンクプレートは、黄色が現行のトラ仕様で、緑色がデイトナ675(ストリートトリプルも同寸)仕様。


スイングアームをサスペンションユニット伸び切りの位置から10mmずつストロークさせ、その時のサスペンションユニット長を計測・記録するだけのシンプルな実験だ。


『 リンクプレートによる違いは? 』

現行トラ 仕様と デイトナ675仕様、それぞれのリンクプレートによってサスペンションユニットの動きの違いは下の表の通り。

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計測はモデル誤差を考慮して 0.5 mm刻みで行なったものの、意外や意外、そんなに差は無かった事に驚きが !  同時に、ストロークと共ににリンク比が変わり、プログレッシブ化の程度も意外に少ない事も発見 !

・・・ で、 どちらのプレートがより良い特性かと言えば ?
この結果を見て、すぐに選択・決定済み ! ( 選択は秘密 ♪ )
これで、リアサスペンション ユニットの仕様も決まり、後は発注するだけだ。

でも、フリクション感の解消の為に、リンク周りに工夫を加える必要がありそうなので、また一寸考えなくては !


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トラ再走計画 ・ リアサスペンション編 (その2)

トラ再走計画。
始めたのは夏の盛りだったのに、もう先日には木枯らしが吹いたらしい。
寒くなると計画進むのか? 停滞するのか? 心配もあるが ・・・
じっくりと納得できる整備をしてやろう。

特に、リアサスペンションは、オートバイにとって、操縦の要。
リアが決まらなければ、フロントサスペンションはまとまらない。
だから、しっかりと進めたい。

・・・と思っていると、少し大変な事を発見した !


『  部品が違う、2mm も違う! 』

このトラ君(正式名称 ストリートトリプル)と初めてお見合いをしたのは、日本発売された年、幕張でのモーターショー会場だった。

車重、エンジントルク特性、ホイールベースなどの仕様が気に入り、現車をまじまじと 2時間以上確認して、整備作業や部品交換の容易さや、特に 姉妹車種:デイトナ675(昔風に言えば レーサーレプリカ仕様 / 現代風は SS )との互換性は念入りにチェックした。

購入を決め、実際に現車が入ると同時に、デイトナ675と同じリアサスペンションのアライメントにする為、デイトナ675のスイングアームピポットカラーやリンクプレートを発注して、慣らし終了と同時に一気に交換した。

だから、リア周りはデイトナ675と同じ! だと思っていた。
しかし! 10年以上経ってから、今じっくりと観察すると違う!
リンクプレートがデイトナ675とは違う!

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三角形の形をしたリンクプレート、ボルトで他パーツ同士を連結(リンク)させてサスペンションユニットを動作させる役割の大切な部品が、三角形・三辺の内、画像で見て左の一辺だけが 2mm短い !!

左側のボルト間距離が、デイトナ675は 67mmで、トラのは 65mm。
たった 2mmと無視はできない。
何故なら、リアユニットでの 0.1~0.2 mmの違いは オートバイの特性を変えてしまうからだ。

デイトナ675 のパーツリストから部品発注して、到着部品の番号も確認した筈なのに、後の祭り。

逆に、新しい特性を生み出す部品があると考えよう。
いざとなったら、デイトナから外せばよいのだから。


ちなみに、速攻で外した 純正でついていたリンクプレートを取り出すと。
てっきり、ツーリング車用の特性になっていると思っていたのに、デイトナ675と同じ寸法だった!
違うのは材質は鉄製だという点だけだった。

・・ さあ、どうしようか ?
 

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トラ再走計画 ・ リアサスペンション ユニット 編

知人、「 いつになったら走れるのぉ ~? 」と、先日聞いてきたので、
僕、   「 そう、早くても 12月以降かな 」と答えた。

ただ走るだけなら、きっとそんな日数はかからない。
が、乗るのも楽しいけど、触るのも楽しいから仕方ない。

それに、この機会にトラを徹底的にブラッシュアップしておきたいし、
ブランクのある “ 腕 ” のリハビリも必要なのだ。
「 後ろの百鬼 」(どろろ)みたいな進行だけど、トラ、よろしく!


『 エコな仕様変更計画 』

さあ、次の整備個所は リアサスペンション ユニット。
 

オートバイの繊細なコントロールの為には、高い品質のリアサスペンションユニットが欠かせないから、オーダー仕様の社外品を使用している。
スプリングの品質性能、ダンパーの品質、そして定期委託するオーバーホール作業の品質、それらが走りの基本になるから、ユニットの選択には気を使う。

ただ、今まで トラ君に装着使用していたユニットではフリクション(摩擦)感が拭い取れず、トラ以前に利用していたメーカーの低フリクション感を忘れきれず、今は使用していないそのメーカー製ユニットを仕様変更して使う事にした。

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元々、オーダーメイドで仕様に合わせて部品を組み合わせる製品だから、利用できる部品も多く、新規にオーダーするよりも 予算は抑えられてエコというものだ。

でも、仕様変更指示書を作成するだけ、の段階で難問が浮上してきた。


『 想定違いの失敗! 』

最初に見えてきた課題は、ユニットのセット長 (全長) だ。
手元にある改修予定のユニットと較べ、トラ君のは 5ミリ 程短いので、仕様変更時の部品交換を少なくできる様に、トラの身体測定やユニットの確認など、一時間ほどアレコレと考えて解決方法が見えてきた時、致命的な問題を発見❗️

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それは、ユニットのストローク量の違い。
改修予定のユニットは 直リンク(フレームとスイングアームとに直接つなぐ昔からの形式)用に作られていて、トラ君のサスペンション形式はマルチリンク(複数のリンクを使いユニットを効率良く活用する方式)だ。

だから、ユニットに求められるストローク長が全然違い、改修予定のそれのストローク長は 約35ミリで、トラ君のそれには 約  55ミリは必要になる事が判明。

諦めます !
エコじゃあなから、少し迷っているけど、新規オーダーへ !
( ・・ それしか無いかな  ?)