妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

トラ再走計画 ・ リアブレーキ編

5年を超える放置の結果、屋内保管にも関わらず、各所に不具合が出てきているトラ君。
やはり、オートバイは常に小まめな整備・調整が必要との教えでしょう。

さて、リアブレーキのタッチが悪くなっている事は報告の通りです。
ペダルを指で押しても、リアブレーキが作動するまでのストロークが大きくなっているのです。

さて、どんな魔物がいるのか探ってみました。

『 リアブレーキ、分解整備の巻 』

何事も外から見ていては判らないもの。
作業がしやすいように、リアブレーキ周りをそのまま取り外します。

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タッチが悪くなる原因は、大きく分けて 三つあります。
一つは、ブレーキの力を生み出す「マスターシリンダー」の不調。
二つ目は、実際にブレーキの力で減速させる「ブレーキキャリパー」の不調。
そして三つ目は、「マスターシリンダー」と「ブレーキキャリパー」の間で連絡役を担当している、「ブレーキフリュード(液」または「ブレーキホース」の不調です。

 

『 原因発見 ! &考察 』

という事で、最初に「マスターシリンダー」を分解してみれば、もうそこにトラブルの原因が顔を出したのです。
  
マスターシリンダーの中のピストンに錆が発生していて、その錆がブレーキフリュード(液)内に浮遊して、それがカップシールを痛めた為でしょう。
画像では、上段が交換前の古いセットで、ピストン本体の色が新品の交換部品とは違うのが判るでしょうか。
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では何故、錆が発生したかといえば、ブレーキフリュード(液)は高い吸湿性を持っている為に、放置期間が長かったのでブレーキング熱で蒸発・発散する事が出来ず、部屋に籠ってピストンに悪さをしてしまったのでしょう。
 
リアのブレーキフリュードは、最も安定性の高い DOT 5.1 を使用していたのですが、過信は厳禁という事ですね。
 対処は、シリンダー内をクリーニングして、インナーキット交換で大丈夫でしょう。
同時に、ブレーキキャリパー内のピストンを支える 2本のゴムシール部品と、ブレーキフリュード(液)を交換するのは当然です。
  
また、画像を見てもらえると判ると思いますが、ブレーキの力を生み出すために欠かせないカップシールが、たった 6000 ㎞の使用で、一番大切なリップ部(端部)の形状が変わってしまっています。
 
やはり、オートバイを構成する四つの要素、「金属」「ゴム」「オイル」「樹脂」では、今回の様に「ゴム」部品が最初に賞味期限切れになるのですね。


さあ、次は リアサスペンション と フロントサスペンション の整備が待っています。
 
 

トラ再走計画 ・ 旋盤工作編

前回の作業で、ようやくエンジンが再始動したというのに ・・・
「 トラ再走計画 」は、気が向くままに進んでいくようです。
 
しっかりと計画を立てて、テキパキと作業を進めたならば、
今頃は 公道再デビュー(?) していた筈! とは自覚していますが、
まあ、これも、あんなに打ち込んできたオートバイと競技の世界から、
完全に手を引いた5年以上の期間の余波だと思います。

見たくもないほど、よっぽど疲れてしまったのでしょうね。

< 閑話休題


『 旋盤工作の巻 』

そう、ガレージへ行き、気が向くままにした事は旋盤での工作でした。

旋盤には以前から憧れていて、トラ君がやって来て直ぐに購入したのです。
その理由は、輸入車の部品は高く、社外製の用品は少ないからで、
簡単な部品は自作する必要が出てきたのです。

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そして、今回作成したのが スイングアームに取り付ける、レーシングスタンド用の フックポイントでした。
もちろん、従来通り、スイングアームを下から支えるアタッチメントを使用し続けても良いのですが、何より雰囲気が出て良いし、スタンド使用時に車体を直立させやすく、整備作業時も少しやり易くなる。( と、理屈は後から出て来るものですが ・・・ )

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そして、完成した後で感じた事はいつもと同じ。
「 旋盤作業は少し苦手だなぁ ~ 」
思考錯誤しながら 随分と時間が掛かったから ・・・・
 
 
リアブレーキ周りの完全分解整備は次の機会に !!

 

 

 

トラ再走計画 ・ やっと再始動

前回までの作業で、シリンダー内へのオイル注入とカムシャフト付近(ギャラリー)へのオイル循環処理が終わり、点火プラグも新品に交換、エアクリーナーフィルターも洗浄&オイル塗布も完了。

懸案の クランクケース右カバーからのオイル漏れは、このトラ3気筒エンジンの弱点で、転倒すると細いカバー固定ボルトが大地の強引な誘惑に負けて曲がり、一緒にカバーを巻き添えにするのが根本原因だ。

とは云え、前回の修復が完璧でなかったのも間違いなし! (反省)
デブコン(アルミ粉含有エポキシ樹脂)で再度修正した後、カバーの合わせ面をオイルストーンで丹念に平面出しをする。
やはり! 引きずられたカバー君、よく見れば(性格)歪んでいたんだ!

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カバーを保護する自作カーボン製カバーも追加修正する。
カーボン層を 2プライ(層の数)ほど増やして  7 ~ 9 プライへと厚みと強度を増し、固定ポイントも 3か所まで増やしたから、以前より安心だ。

さあ、これで やっとエンジンを再始動へ進める。
トラ君、以前の実働期間 3年、総走行距離 約 6,000 ㎞ とは云え、6年間以上の放置(プレイ)を受けていた身だ。

すねていないか心配だ。
恐る恐るスターターボタンを押すと ・ ・ ・

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まるで、鬱憤(うっぷん)を晴らすかの様に、煙を勢いよく吐き出してくれた。 でも、安心だ。
シリンダー内に注入したオイルが燃えて出るオイル燃焼煙だ。

さあ、これでエンジンは一段落。
でも、まだ作業は多く残っている。

タイヤ交換は当然の事、前後ブレーキのマスターシリンダーやキャリパーピストン周りのゴム部品の交換、フロントフォークの分解整備など、経年劣化した部品の交換から主要箇所の分解整備は必須作業だ。

そう、リアサスペンションユニットを新規指定発注して交換もしなくては!
( いつになったら 公道を走れる? )

トラ再走計画 ・ 点火プラグ 後編

点火プラグの購入も済ませ、久しぶりにガレージへ戻る。
そこには 燃料タンクが外され、エアクリーナーケースも外され、
リレーユニットパネルがハーネス(配線)で吊り下げられ、
インテークポート(吸気口)には “猿ぐつわ” 代わりのガムテープ貼られたトラ君。

「 ごめん、ごめん、今日は少し楽になるからな 」

作業再開である。


【 オイル、少しは回ったかい? 】

点火プラグを外し、アルミパイプとビニールホースで作った “ 点滴セット ” をプラブポート(点火プラグ装着部)に差し込み、エンジンオイルと添加剤の混合オイルをシリンダー内へ注入する。

続いて、右側のクランクケースカバーを外し、火プラグは外したままの状態で、クランクシャフトを工具を使って直接回してやる。

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最初はゆっくりと、数回転。
120° 回す度に重くなるのは 4サイクル 3気筒エンジンの証。
( カムシャフトがバルブを押し開いている ! )
徐々に少しずつ軽く滑らかに回るようになってきた。

では! と、カムシャフトやシリンダーヘッド周りにもオイルを回すべく、回転速度を少し高める。
エンジンのオイルポンプは容積式だから、低回転でもオイルラインを通じてオイルをエンジン各部へと最低限は届けてくれるだろう。


【 要修理・クランクケースカバー 】

放置して再走作業に入るまで忘れていたが、トラ君には持病があった。
それは 右クランクケースカバー だ。

エンジンの性格はとても良いのに、右側へちょっと “ つまづいたり ” すると、直ぐに傷つきやすいのが玉に瑕(きず)なのが手に焼くところ。

つまづいてこそ上手くなれると信じるライダーのため、トラ君は 放置されている間、少しずつだけどオイルをポタリ&ポタリとコボしていたのだった。

保護用のカーボン製カバーを自作装着して対応しているが、持病は持病、簡単に治る生まれ(設計)ではない。
また、デブコン(アルミ粉配合、エポキシ系造形剤)で補修してやらなくては !

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エンジン再始動は次の機会だ ♪


【 エアクリーナーフィルター洗う 】

純正で装着されていたフィルター(一般的な乾式)は最初の 100㎞ だけ。
直ぐに、社外品の 湿式。エアクリーナーフィルターへ交換していたから、この機会に洗ってあげよう。

この湿式の良い点は 汚れても洗って再使用できる事だ。
地球環境に優しい? かどうかは別として、いつでも初期性能近くに戻せる点が嬉しい。

洗った後は、専用のオイルを塗布して終了だ。

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妖怪・小林 “妖怪” と呼ばれる前の 憧れで目標

妖怪になる前の1980年代末、
二輪ジムカーナ界のトップライダーの走りを目の当たりにして、
ますますライディングの世界へと魅了されてしまったのです。

それでは! と、最も競技人口が多く、競技レベルが高かった関東へ!
年明け早々から通い始めると ・ ・ ・ 。
当時、トップライダーの座にいた人からプレゼントを贈られたのです。
それが、この練習走行のデモテープです。

現代の車両(オートバイ)と比較すれば車重は重いうえに、
タイヤが細くグリップ限界の低いバイアスタイヤのために、限界の低い
車両ですが、現在のライダーでも真似が出来ない様な高度なテクニックが
披露されています。

 

妖怪・小林、“妖怪”と呼ばれる前の憧れ&目標



トラ再走計画、 点火プラグ ・ 前編

放置プレイに泣いた トラ君、軽くて強力な リチウムイオン バッテリー 購入でエンジン再始動! と 軽く考えていたが、繊細な(小心な?)配慮が頭を支配した。

「 このまま始動させると、シリンダーに余分な傷が ・・ 」

長年、放置したままだから、エンジンオイルはオイルパンへと落ち切っているだろう。 エンジン内部で擦れ合う部品同士の間に入り込み、部品同士の摩耗や損耗を防ぐのがエンジンオイルの役割。 定期的にエンジンを稼働させていればオイルは部品間に残りやすいが、6年放置では、部品間はおろか オイルポンプやオイルラインの中さえ残っているか怪しいものだ。

そこで、シリンダーの損耗を防ぐ為に、点火プラグホールから 潤滑油か潤滑剤を注ぎ込み、エンジンを手でクランキング(工具を使って回転)させて、シリンダー壁面に塗布する事にした。

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お蔭で、新車購入時以来、2度目の点火プラグ交換。
走行距離 約 6000 ㎞ だから、本来は交換は必要ない。
だが、再走計画に抜かりがあってはいけない。
それにしても、フューエルインジェクション(燃料噴射)にもダイレクトイグニッション(コイル直接装着式点火システム)も嫌いではないが、ぎっしり詰め込まれて指さえ入り難い電装補機類の配置は好きにはなれない。

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でも、バラせばバラしたで不思議に愛着が湧く。

次回は 点火プラグ(今や 当たり前になったイリジウムプラグ) を購入してからの作業だ。

 

【 追伸 】

バラして良かったコト。

エアクリーナーボックスの前部、ラムエア用開口部との接続部のスポンジ製シールは見た目は何ともないが、指で触るとミイラの包帯の様にボロッボロッと剥がれ落ちてきた。( やはり、ゴム部品はもろい )
お蔭で、スポンジ製からゴムチューブ製の密封度の高いシールへと交換ができたコト ! ( 材料は、ホームセンター仕入れ )
 

トラ再走計画、 バッテリー編

先日も書いた通り、放置プレイの有無に関係無く、オートバイの部品で一番賞味期限が短いのが “ ゴム部品 ” だ。
タイヤは当然の事、オイル等の液体や気体の漏れや圧力損失を防ぐ為に、エンジン内部やホイール中心部、ブレーキ関連やドライブチェーンなど、重要な役割を担っているからチェック&交換は欠かせない作業だ。

しかし、それ以前に肝心な部品を忘れていた。
それは、バッテリーだ。

放置〇〇〇の際、バッテリーの-(マイナス)端子は外してムダ遣い禁止を申し渡していたが、バッテリーの自然放電をそのままにしていれば再起不能な程に老化してしまう。

そこで、新規に購入したバッテリーがこれだ。

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既に、練習車・VTRで2年以上の使用実績があるから迷わず購入。
その上、純正バッテリーの “ 鉛電池 ” とは違って、この “ リチウムイオン電池 ” では、内部抵抗の少なさから端子電圧(起電力)の低下が少ない事よりも、単体重量が小さい事が何より嬉しい。

トラ君はリアシート下にバッテリーを積むので、これで益々 “ 尻軽男 ” になるのかな ~?