妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

リア スプリング、フローティング化(1)

『 あらすじ 』

そもそもの原因(要因)は、トラ君のサスペンション設計の問題だ。
サスペンションの作動と操安性について、きちんと練り上げられていないのだ。

リアに限って言えば、作動性が悪く微小な荷重変化に反応しない場面がある。
簡単に言えば、フリクション(摩擦)大き過ぎるのとよく似ている。
リンク式サスペンションなのに ホイールストローク時のリンク比はプログレッシブ(累進的)になっておらず、複雑なリンクが介在する分だけ、それまでに乗っていた直リンク式車(ほぼ リニアに変化)より作動性がとても鈍い領域があるので対策が必要となっているのだ。


『 連結ボルトのフローティング化 』

サスペンションユニットは社外製品へ交換しているので、上下のマウント(リンク)部のベアリング(スフェリカル)で不要なフリクションは抑えられている筈。
そして、リンク機構が連結ボルトで繋がれている各部にもベアリング(ニードル)が入っていて無駄なフリクションは抑えられている筈。

その上、当然だが、各部のベアリング部は走行1000㎞ を目途に分解・清掃(ゴミとグリース除去)・給脂(新グリース封入)を行なっても満足いくレベルにはならなかった。

そこで、リンク部の連結ボルトのフローティング化を試みた。
リンクはベアリングで支えられているが、そのベアリングに支えられている連結ボルトは車体やリンクプレートに直接接触しているので自由度は無い。部品相互間で自由度の無い接触フリクションを生む要因となる。
だから、リアサスペンション周りの連結ボルトの全て(スイングアームのピポット部は除き)をベアリングでフローティング化したのだ。

連結ボルトのフローティング化は確実に良い変化を与えてくれて、直線走行でさえリアタイヤの接地感が10%程度増したほどだ。
それでも満足できず、後日、連結ボルトの締め付けトルクを全て 20% 減らしたところ、更に 15%程度改善して走るのが楽しくなった。

でも、元の設計の問題なのか、それまでの国産車では感じられていた接地感には届かない。
そこで、「 リア スプリング の交換 」 と 「 リア スプリングのフローティング化 」を試す事になったのだ。

  
『 リア スプリング のフローティング化 』

トラ君用に最初に購入した 英国製サスペンションユニットは、工作精度が低くシム交換しても作動性・応答性に満足できなかったので、現在は スウェーデン製へと交換している。

が、スウェーデン製のダンパーユニットの作動性にはさほど不満は無いけど、黄色いスプリングには不満があった。
最新型ユニットになって採用例が多いこのスプリングは、従来の同社製より線径が細くて線材も短くなっている事も要因だろう。線径が太くて線材が長いスプリングと較べれば、例え同じスプリングレートであっても作動性の悪さが出易いのは当然だし、その作動性に不満があるのだ。
だから、従来から使って高品位な作動性に惚れている米国製のスプリングへの交換を決めた。

ただ、両社製品はコイルスプリングの内径が異なるので、ユニットに装着する為には、スプリング リテーナー(台座)を製作する必要があり、それなら 一緒にスプリングのフローティング化も一緒に実現する計画を立てた次第だ。

 
『 スプリング リテーナー の 製作 』

2017年 冬には計画の概要が決まり、2018年 春までには必要な部品(ベアリング等)とリテーナー製作用アルミ材は手元にあったが、2018年 秋、ようやくリテーナーの製造に取り掛かった。
 
作業が遅れた理由は色々とあるが、中でも深刻なのは旋盤での加工に慣れていない事だった。 それまでも小さな部品製造の経験はあるが、今回の部品は最も大きく、“中ぐり” という初めての加工方法があり、削る量も多かったのが躊躇していた理由だった。
 
時間と意欲が増した頃合いを見て加工に入ったが、やはり苦手なものは苦手。

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 切削量も多いから時間もかかったが、ようやく 上部のリテーナーの削り出しは完了した。
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手配済みのベアリングとワッシャー、そして米国製のスプリングの仮組み確認も完了。残すは、下部のリテーナーの削り出しとユニットへの組み込み作業だ。
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完成が待ち遠しいけど、リテーナーが設計通りに正確に組み立てられるのか?
それよりも、これでどこまで良くなるのだろうか?
不安と期待が半々だ。