妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

リアブレーキ周り、基本的(?)整備・アレコレ

人間も機械も、ストレスの少ない環境の方が良い働きをする。
ストレスばかりでは、一時は良く(?)ても、やがては壊れてしまう。

それは、オートバイも一緒だ。
一つひとつの部品は、あるべき正しい位置に収まり、
動く部品(可動部品)はストレス無く動くべきなのだ。

だから、オートバイの整備ではストレス除去が一番大切と言える。
そして、ストレスの最大手の一つがフリクション(摩擦)だ。
フリクションがあって良い部品はタイヤぐらいだから、
基本整備の殆どはフリクション除去作業だと言ってよい。



【 リア ブレーキ周りの基本整備 】

整備車両は、練習用に導入している ホンダVTR。

当然、定期的に ブレーキ液(フリュード)の交換やキャリパーピストンやスライディングピン等の清掃&給脂(グリスアップ)、マスターシリンダーの内部ユニット交換(通称:オーバーホール)は行なっているが、人間(ライダー)のブレーキ操作に対して、もっと繊細な反応・タッチが欲しくて行なった整備を記録する。

先ずは、VTRの リアブレーキ周りをステップホルダーごと車両から取り外す。

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VTRの場合は、一般的な車両の形式と異なり、ステップホルダーはスイングアームのピポットシャフト(軸)の固定を兼ねているから、少し大げさだ。

ステップホルダーごとに外したブレーキ周りは、以下の部品の構成だ。

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リアブレーキ周りを整備する際、煩わしくなるのが ブレーキランプスイッチへと繋がるコード(電線)だ。 取り外してしまうのが普通だが、後で装着して、位置調整をするのが面倒(?)なので、今回は切断した。( 赤の丸印内 )

ここで判るのは、リアブレーキペダル  が取り付けられている ピポット(軸)部に、ペダルの適切な動きを助ける為の、固定用のサークリップが無い事だ。

右側への転倒歴がある車両の場合、固定用サークリップ部に大きな力が加わり、脱落する例は珍しくない。
当然、この車両も何度も倒しているから、正しい位置決めの為に装着が必要だ。



【 フリクション除去作業 】

では、今回の整備の目玉、フリクション除去作業を紹介する。

リアブレーキペダルの操作で、最も無駄なフリクションが発生するのが、先ほど出てきた、ブレーキペダルを固定しているピポット(軸)部だ。

一般的な整備であれば、ピポット部の清掃&給脂(グリスアップ)だが、更にフリクション除去を目指して、ピポット部を鏡面研磨処理を施す。

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ブレーキペダルを踏み込んだ際、必ず部品同士が擦れ合う場所だから、デコボコした表面で擦れ合うより、鏡の表面に見える程に平滑になっている方が良いからだ。

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上の画像で赤い円の内にあるのが研磨後のピポット部。
同様に、ピポット部と触れ合う、ブレーキペダルの取り付け穴の内部も鏡面研磨処理をする。



【 その他の整備作業 】 

今回、鏡面研磨作業が有効な他の箇所は、ブレーキペダルからマスターシリンダーへ繋がるロッド(押し棒)の固定部、そして そのロッドとシリンダーユニットが接する球面部だ。

同時に行なった一般的な整備作業、「 マスターシリンダー のオーバーホール」

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そして定番の作業、「 ブレーキキャリパー のオーバーホール 」の作業。

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これらの作業にもフリクション低減の工夫はあるが、それは次の機会に。



【 作業結果 】

作業開始時刻が夕刻で、撮影記録なども行なった為、テスト走行は翌週に。

が、指でブレーキペダルの操作をすると、確実にフリクションは減っている。

(指で)踏み初めは、余分な抵抗感無く、すっと動きだして、戻し用のスプリングの反力だけ。
そして、シリンダーを押し始めてから実際にブレーキが利き始める迄の間がとても短くなっている。シリンダーを押す作業以外に、余分なフリクション(摩擦)で浪費される事が無くなったからだろう。

そして、実際のライディングで重要になる、ブレーキペダルを戻していく動きにもリニアに反応をしているから、テスト走行が楽しみだ。



【 備考 】

実は、リアブレーキ以上に、フリクション低減処理が効果的なのが フロントブレーキ周りの 鏡面研磨処理を含む基本整備だ。
その理由は、手の方が足での操作よりも何倍も繊細な感覚・神経系を備えているから。( この作業内容も、次の機会に ♪ )

ブレーキペダルのピポット部は 、転倒により必ず歪が発生するから、本来ならば 歪が最も少ない新品ペダルに交換して、転倒による変形を防ぐ為に、足で踏みこむ部分をオフロード車の様に可倒式へと加工するのが良いだろう。

最後に、切断した ブレーキランプスイッチ へのコードには、カプラーコネクターを新設したので、次回からの作業が楽になった。

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