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妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

昔乗っていたオートバイ ( XJ400Z-E編 )

人生で初めて手に入れた中型オートバイはヤマハXJ400。
そして、次に手に入れたオートバイはヤマハXJ400Z-Eでした。

名前はほんの少しの違いでも、エンジンから車体まで全く新しく設計された高性能版でしたが、それ以上に僕に“因縁”や“人生訓”を教えてくれたオートバイでした。 

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【 購入のきっかけは ・・ 】

購入、というよりも手に入れたきっかけ、それは事故でした。
最初に購入したXJ400で街中を夕方走っていた時、小さな路地、一旦停止して左右確認したつもりで発進したところ、ブラインドになっていた所から車が向かってきているのを確認。

幅員4m弱の道、避ける間も無く、横手方向から減速出来ずに近づく車。
オートバイの右側面、右足めがけてスローモーションで超接近した車のライトを見て思った事 「あっ! ボルボだ」

次の瞬間、頭の上から地面が降ってきた。
実際には10m近く跳ばされ、頭頂部から着地したのだった。
そんな時、頭を巡った想いは 「僕の給料で弁償できるかなぁ? 何か月分だろう?」
放心状態のまま横たわっていると、車のドライバーがやって来てかけてくれた言葉。

「 Are you fine ? 」

 え? 英語?   事故で混乱している頭で考えた。 え~と、中学校で習った返事、「 アイム ファイン. アンド ユウ? 」では違うよな~

幸いにも身体には大きなダメージは無く、オートバイの損傷も廃車路線程ではなかった。
そして、何よりも感心させられたのは男性のドライバーの誠意ある対応だった。
後日、示談のために料亭をセッティングして、秘書の方を通じて示された言葉は
「 私の運転であなたに迷惑を掛けましたが、あなたの身体に大きなダメージが無くて良かったです。 」
「 あなたのオートバイの事は、私の全責任で保障する様に保険会社へ指示しました 」

もし、逆の立場だったら僕は同じ言葉を言えるのだろうか。
そんな思いもしながら、XJ400は車体各部の傷から全損扱いとなり、新しく車両を購入する事になってXJ400Z-E がやって来たのです。
XJ400は、必要最小限の破損を修理して、競技専門車両になり、2台のXJ400生活が始まったのです。

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【 最初の災難 】

XJ400Z-Eは決して悪いオートバイではありません。

しかし、XJ400と較べると、エンジンを始めとする車体各部の仕上げ工程の少なさの目立つ車両でした。 XJ400では アルミ部品の金属に切削加工を加えて、その上からコーティング処理を施し、アルミの地肌と切削面との対比が美しく演出してあり、それが XJ400Z-Eでは切削も無く黒い塗料で塗りつぶされているだけと、見た目だけでなく磨き甲斐の少なさを感じたものです。

時代は 1980年代半ば、この車両だけに限らず、他のメーカーの車両でも、コストカットの大きな波がはっきりと表れてきた頃でした。
でも、新しいオモチャを手にいれた子供の様に、分解しては自家塗装して飾り立て、休日にはツーリングへと連れ出していました。
 

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そんなある日、朝、通勤の為に走らせていた時、宝塚市内、国道176号線の旧道、幅員6m程の片側1車線の道、対向車線を大型ダンプがセンターラインぎりぎに通り過ぎて行ったその瞬間、そのダンプの後ろを走っていた 2 tonダンプが黄線を完全に越えて僕の車線の中に!

救急車で運ばれた病院で精密検査の結果、打撲だけで大きな損傷は無く、午後には退院。

しかし、XJ400Z-Eは現場に。
購入したオートバイ屋へ連絡し、一緒に車両を回収の為に現場へ行った。

正面衝突を避けるため、無我夢中の操作で後輪ロックによるブレーキ痕が20m近く続き、緩やかに進路を変えて、最後は道路の左端近くでダンプの右運転席角と正面衝突し、僕はダンプとの正面衝突を避ける様に、身体だけがダンプの運転席横へと落ちていったのが見てとれた。

明らかに、ダンプの方の前方不注意だが、そのドライバー・造園会社社長には誠意は無く、見舞いも無いどころか、任意保険さえ入っていない始末。

その上、造園業者の社員には「オートバイが急に飛び出してきた!」と言われる始末。

現場検証の内容とは別に、オートバイへの風当たりの強さを感じた言葉でした。

まだ若かった僕には、怒りは湧いてきても十分な交渉術もコネも無く、泣く泣くあきらめて自費で修理する事に。でも、正面衝突で大きく歪んだフレームまで修正するお金は無く、異様にキャスター角が立った車両との格闘が始まったのです。

この時、頭をよぎった言葉は、「 事故でやってきた車は何かを持っている? 」
でも、直ぐに忘れて、修理と整備の日々が続いたのです。


【 最後の災難 】

見た目には以前と変わらない程に戻った車体だったが、フレームが歪み設計値より小さくなったキャスター角はごまかせない。

試行錯誤しながら、ようやくバランスが取れるセットアップを手に入れ、六甲山を走っていたある夜。

中腹地点で若いM君と知り合い、六甲山頂部を縦断する道へのツーリングへ誘う。

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高校生の彼は、街中の走行は慣れていても、山道の走行には慣れてなかった。
その上、街灯などの照明が一切無い、曲がりくねった道を走るのは難しいもの。
往路は僕がペースを落とし、ミラーで確認しながらリードした。

そして、帰り道は M君を先に走ってもらう事になった。
でも、やっぱり危なっかしい。
次の左のブラインドコーナーの次、直線路で前に出てあげよう。

と思った時、M君が左コーナーを曲がり切れずにセンターラインへ、同時に、コーナーの反対車線から車・430セドリックが走って来ていた。

瞬間、何が起きたか分からなかった。
でも、右足首に激痛が走り、僕は道路の上を痛さのあまりに転げ廻っていた。

遅い救急車を待ちつつ、痛みを堪えつつ観察してみれば、XJ400Z-Eの右ステップ周りが無くなっている。

車と衝突したM君は勢いで車のボンネットを超えてフロントグラスに当り、M君の乗っていたオートバイは跳ね返されて、後ろを走っていた僕にぶつかってきたのだった。

骨折した右足で歩くのに慣れた頃、引き上げてきたXJ400Z-Eを前にして決断したのでした。

「事故(成金)で得たオートバイとの縁は切るべきだ」と。

そこで、六甲山で知り合った人の一人で、XJ400Z-Eとエンジンなど共用部品が多く使われているオートバイ、レーサーレプリカの FZR400 に乗っていた20歳過ぎの I君に引き取ってもらう事に。

もちろん、お金は要らない。名義変更の約束だけだ。

これで、ようやく事故(成金)で得た車両との因縁が切れたと考えていた。
でも、実はそれは違っていた。(と思っている)


【 苦い教訓 】

これは、オートバイに乗っている多くの人に聞いて欲しい。

オートバイは、一般路上の上では車との接触事故で大きな被害を受ける。
仮に、警察の検証や保険の判断で車側に大きな過失があったとしても、直接的に身体にダメージを受け易いのはオートバイです。

だから、オートバイに乗る時には、常に周りに居る車と接触や衝突をした場合、どんなダメージを受けるのか、それは簡単に治る怪我の可能性もあるけど、一生引きずる後遺症になる可能性もある事を理解して欲しい。

そして、事故の相手が誠意のある人で、不幸中の幸いの様に事故で大きなお金が入ったとしても、それをそのまま喜んではいけません。

そんな縁は、別な災いを招く事もあるのです。

実際、右ステップ周りが無くなった他に大きな傷の無いXJ400Z-Eを喜んで引き取ってくれたI君。僕の事故から 2週間もしない早朝の神戸市内の国道2号線

空いた広い道をFZR400で走ってきたI君の前方、横の路地から出て来た大型トレーラー車が片側2車線の道を塞いでしまい、I君は止まり切れずに側面衝突。

ほぼ即死の状態だったと聞いた。
丁度、元WGPレーサーのノリックの事故状況と似ている。

直接の因果関係は無いかも知れないが、僕はそこに“因縁”はあったと今も考えている。
交通事故で新車が手に入り、それで喜んでいた僕に対しての“ばち”の様なものだ。

その“因縁”で、僕は2度事故を受け、I君は最後の事故になってしまったのだ。

皆に覚えていて欲しい事は、事故に逢ったとしても“お金”や“得”を必要以上に求めないで、事故では必ず“損”をするのが当たり前と考えて欲しいのです。

これを読んでくれている全員が事故の体験をするとは思わないけど、周りでそんな人が居た時には伝えて欲しいのです。

もちろん、事故には遭遇しない様にして欲しいが、例え直線路を法定速度で走行していたとしても、事故は向こうからもやって来るものです。
それを十分に自覚して、日頃から事故の後の処理まで気を遣ってください。

・・・ という事で、すっかりオートバイに乗るのが嫌になり、悩みながら色々と考えて決めた事は次の機会に書きます。