妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

トラ再走計画・ 番外編 「ハブダンパー」

リアサスペンション の 組み付け完了し、新品タイヤ装着の前後ホイールも準備完了したから、さあ、リアホイール組み付けだ。

リアホイール作業時の交換部品と言えば 「ハブ ダンパー」だ。
ゴム製品だから定期交換するのが当然だし、前回交換は 1800 km 時だから、それから 4100 kmも走行しているから交換しよう。

と言っても 純正部品にそのまま交換するのはもったいない。
何より、輸入車部品だからコストが高いし、手配してもすぐに入荷しない事もある。
だから、国産車用の部品に交換した。

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純正は カワサキ車でよくある一体型だけど、ヤマハ車純正の分割型へ交換だ。
ゴム部品の形状からみると R6純正型が近い。
でも、ここでは茶目っ気を出して、R6 レースベース車両用に交換した。

これで、スロットル操作への遅れが少なくなり、更にダイレクト感が増す!
・・ と いいなぁ ♪

            *   *   *   *   *   *

【 後がき 】

ホイール装着して、イニシャル荷重(サグ)を基本値に設定して、
試しに エンジンを掛けて、ギアを入れてみた。

う~~ん。
ホイール側での遊びが少なくなったせいか、ニュートラルが出し難くなった。

さあ、残るは 車検だ。
あぁ、問題は無いと思うけど、他人に審査されるのって ・・ 億劫だなぁ ♪

 

トラ再走計画・リアサスペンション / 番外編 2

オートバイ各部のフリクション(摩擦/摺動抵抗)を少なくする事は、オートバイ本来の正しい動きを引き出して、素直な操縦性や運動特性の実現には欠かせない大切な事だ。
しかし、一般的な整備工場で行われる整備作業では重視されず、時には部品メーカーでさえ全く無視している現状では、新車を含む殆どのオートバイは本来の動きや実力を発揮していないと言える。

そんな現状に背を向け、ひたすらフリクション低減の作業は、求道者と言うべきか? 単なる“おたく” なのだろうか ??


『 かわいそうな ピロボール 』

リアサスペンションユニットは、その上下部分を車体に固定されていて、その固定部は殆どのオートバイの純正仕様では「 ラバーブッシュ(ゴムブッシュ)」タイプの軸受だ。

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この 「ラバーブッシュ」は軸受部の周りをゴム製品(ブッシュ)で支える形式で、そのメリットは メインテナンスフリー(整備出来ない)性と廉価性だけだ。

逆にデメリットは二つある。
一つ目は、その固定軸部には 軸周りに回転する力や 軸を前後左右の方向にねじる力が加わっているが、それらの力によって ダンパーロッドやダンパーピストンに曲げ応力が働くため、フリクションが発生し易くダンパー本来の動きが阻害される事だ。
二つ目は、ゴムが介在する分だけ、車体側とサスペンションユニット側との間で動きにズレが必ず出るため、正しい動きを求める者にとってはやっかいな存在だ。

そんなデメリットを解消できる機構の代表格が「 ピロボール(軸受 / ジョイント)」だ。
「 ピロボール(軸受)」は 球面軸受とも云い、軸受は球体になっていて、その周囲の保持部に支えられた球体は自由に回転が出来るし、前後左右にねじる力にも回転し、曲げ応力が発生しにくいので、フリクションは発生し難くてダンパー本来の働きが実現できるのだ。

その上、ゴムは一切介在せず、ほぼダイレクトにサスペンションユニットが活躍できる優れモノだから、モータースポーツの世界では特に四輪車で多用され、オートバイの場合も 社外製高額サスペンションユニットで広く採用されている。

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しかしだ、その本来の能力を発揮しているかと言えば、その重要性を殆ど理解されず正しく整備されず、精密部品ゆえに本来の動きが出来なくなったり固着してしまっている場合もあるから悲惨だ。

実は、トラ君用に仕様変更とオーバーホール(分解整備)を依頼したサスペンションユニット:「イギリス娘」もかわいそうな状態だったのだ。


『 イギリス娘の正しいしつけ 』

実家に戻ってオーバーホールされて帰ってきた「イギリス娘」を見てみれば、ピロボール部の汚れは確かに洗浄してあったが、洗浄したまま、つまり十分に給脂されていない !!! (シンジラレヘン)

その上、生まれつきピロボール周囲の部品の加工精度がとても悪くて、ピロボール部横の Oリング装着部の内径が 上下左右4か所とも異なり、最大 2mm以上の誤差があるのに、装着された Oリングは全て同じサイズで、しかも Oリングを組み込むと 肝心の ピロボールの動きが大きく制限されてしまう構造だから困ったものだ。

そこで、無い頭を絞って解決策を練ってみた。
先ずは、大して役に立っていない Oリング を取り去って、ピロボールに本来の自由な動きをさせてやる。

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次に、ピロボール内部の隅々までたっぷりと グリスで給脂してあげる。
そして、そのままでは グリスが漏れ出易いので、ウレタンラバーで軸受部外周をすっぽり覆う特製のシールを作成した。

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特製のシールがどの程度活躍してくれるかは分からないけど、取付け部は左右からプレートではさみ込む形だから、結構長く活躍してくれるだろうし、最長で 5 ~ 6000 ㎞ 頑張ってくれればよい。

これで、少しは フリクション減ったかな?
減ってくれているといいのだが ・・・ 。

 

トラ再走計画・リアサスペンション / 番外編

トライアンフの整備を通じて、もっとオートバイの各部品の一つひとつが正しく動作して、もっとバランスが整った車両作りを語るこのページ。

今回は、リアサスペンションに新しく試みた企て(くわだて)が挫折した話だ。

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『 スプリングは素直じゃあない 』

オートバイに使われているスプリング(ばね)の多くの形式(形)は、らせん状にぐるぐると巻かれた形、“ コイル ” スプリング だ。

円筒形状に巻かれたスプリングを、その円筒形の軸方向に縮めたり、時には伸ばしたりして、その反力を利用している。

が、このスプリングは本当は素直なヤツではない。
特に、オートバイの操縦安定性の要・サスペンションに使われているコイルスプリングで悪さをする。

どういう風に素直じゃあないかと言えば、製造された時の “ クセ ” が残っていて変な抵抗をしながら縮むとか、円筒形の軸方向に沿って真っすぐに縮めてやっても少し曲がってしまったり、縮めて外径が少し大きくなる時にスプリング自体が回転しようとしたりするのが普通だ。

変な “ クセ ” を無くすには、製造後に一品ずつテストして “ クセ ” が少ないものだけを販売しているメーカーの製品を使うに限る。

残りの “ 曲がり ” と “ 回転 ” については、スプリングの固定をきっちりさせてしまうとサスペンションの動作に余分なフリクション(摩擦)を発生させるので、スプリングの固定方法に自由度を与える方法が一番だ。

今回はリアサスペンションだから、スプリングは短く “ 曲げ ” では悪さはあまり気にする必要はない。

しかし、“ 回転 ” は違う。
スプリングに掛かる力が大きい ため、固定金具との間に掛かる力も大きく、回転しようとする力が発散できずに “ 悪さ ” (フリクション発生)をするからどうにかしたいのだ。


『  スプリングを自由にさせる  』

その解決方法は難しくない。
スプリングが自由に回転できるようにしてやればよいのだ。

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上の画像の「スラストベアリング」を組み込む事によって、スプリングは回転できるのだ。

中央にあるのが 「スラストベアリング」(ベアリング本体)を、右側にある 「スラストころ軸受け」(正式な名称は スラストベアリング外輪 と スラストベアリング内輪 )で両側から挟みこむ様にして、三つの部品を一体にしてベアリングとして使えるのだ。

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その 「スラストベアリング」をサスペンションユニットに仮組みすると、下の画像の様な配置になる。

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が、これでは組み込めない。
「スラストベリング」全体で 12.5 mmの厚みになり、このサスペンションユニットにはそれを組み込むだけの余裕は無いのだ。


そこで、余裕の無さを予想して、一緒に購入した「スラストワッシャー」を 「スラストころ軸受け」の代わりに仮組みした。

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この組み合わせだと、「スラストベアリング」全体で 5mm の厚みになり、余裕で組み込める。
しかし、この段階で このサスペンションユニットに組み込むのは断念したのだった。



『 断念した二つの理由 』

断念した理由は二つだ。

一つ目は、本来は組み合わせるべき「スラストころ軸受け」が使えない事だ。
「スラストワッシャー」であれば組み込む事は出来るが、そこには最大で 600 Kgf を超える荷重が掛かるので、厚み 1mm のワッシャー が変形せずに作動できるとは考えられないからだ。

特に、スプリングガイドに接する側では変形が大きく出て、ベアリングとして作動する以前に きちんと荷重を受け止められないサスペンションの作動になるのが予測できる。

二つ目は、サイズがぴったり合っていないからだ。
スプリングのサイズは内径が 約 58 mm、 外径は 約 82 mm だけど、ベアリングは このスプリングのサイズに一番近いサイズで 内径が 60 mm、外径は 85 mm と少し大きめだ。

特に、内径の差を埋める為のカラーなどの部品の調達・製作が未解決だった。
やっぱり、きちんと“回転”させる為には、スプリングとベアリングの回転軸を正しく合わせてやりたいものだ。



『 備考 』

スプリングを自由に作動させて、その作動フリクションを除く解決策は見えてきた。
決して、今回の出費と加工は無駄にはしない。

練習用車両:VTR 君には、あの “ アメリカ娘 ”が装着されているし、そのサスペンションユニットに 15 mm程の組み込みスペースがある事は確認しているのだ。

しかし、迷っている。
総重量 260 g になる 「スラストベアリング ユニット」は、重量的にどの程度のタイムロスになるのだろうか?  それとも、自由に回転するスプリングでタイムアップになるのだろうか?

小さな事だと思うだろうが、結構悩んでいるのだ。

 

トラ再走計画・リアサスペンション編(その6) 「米国娘に焦がれつつ?」

「社外製のリアサペンション ユニット、車種専用仕様で販売しているのだからいいのでは?」
「あんなに高くて調整機能が満載だから、高品質で間違い無いはず!」と信じている人達へ告げよう。

その絶大な信奉を裏切ってしまうので、このページは読むべからずだ!

 

『 一番のお気に入りは 』

長く様々な車歴の中で、多くのユニットを実際に使用してきた。

国産のKYBに始まり、オランダのKONI、そして 当時はオランダの WPが長く続き、2002年からは米国の製品を使用してきたが、この製品(米国娘)が一番のお気に入りだ。
特に、オーバーホール(分解整備)直後の低フリクション感と高荷重域まで靱性高くしなやかに支える上質感はロールスロイス級だ! と 本物に乗った事も無いのに思える程だった。
  
それは当然だろう、 米国ではNASCARINDY CAR の両カテゴリーへ常にエントリーして、特に INDY CAR では 出走4台がトップ4を占めそうな程に有力で有名なチームを抱える会社の製品だ。   
ピストン径とピストンロッド径は共に最も太く、各部品の材質と工作精度も最上級だ。
 
しかし、それを知っていながら、トラ君が来た時に別なメーカー製(英国娘)に“浮気”したのが 2007年。 そして今回、2016年、“ヨリ”を戻そうとして、精一杯気遣い、ピッタリなのを新調してあげようとしたのに、“ 社外品の事情 ”で涙を飲んだのだった。

 

『 社外品の事情 』

“社外品” は “ 純正部品 ”とは違って、特定の車両専用に設計して製造されるわけではない。 大きさや長さが異なる幾つかのピストンやシリンダー本体、エンドピースなどの部品を組み合わせて、その車両に“ 装着が出来る製品 ”を作り、それを“ 専用品 ”として販売するシステムだ。
  
だから、純正品の様に、車体設計者からの要望に合わせた仕様の製品を作り、その後に車両に装着してテストと修正を繰り返してから採用されているのとは違う。

車高調(ユニット全長の調整機構)は、アライメントを左右するユニット全長を、純正品と全く同じにする為には必要な機構で“逃げ”。で、数多くのダンピング調整機構は、数多くあればどれかが合うからだ。
     
そんなレベルだから、“お気に入り” の米国娘のメーカーへ、細かな仕様を指定して製造を依頼したら、要求したストローク長 54㎜ は出せないとの返信。 訊けば、ストローク長は 49 ㎜程度になるとの事。
   
待ってくれ!
それでは、トラのリアホイールトラベル(ストローク)量は 130 mm で設計されているのに、装着しても 120 mm 程度しかストロークしないよ!
 
残念、この縁談はご破算だ。
以前使用していた “社外品”(英国娘)は、純正とは作法が違うけど、ストロークを確保できそうなので、とりあえず戻るしかない。

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『 気を取り直して 』

強く憧れ、長いお見合いの末、暴露した欠点を許せずに別れ、すぐに元の“サヤ”に戻ろうとする男心。 かと言って、以前と同じ“サヤ”には戻りたくない。
何故なら、“ 低速時フリクション ”が大き過ぎるからだ。
つまり、ユニットが伸縮するストロークの速度が低い時、低速・低荷重域から一気に荷重をかけていく時にユニットにツッパリ感があり、タイヤのグリップ(トラクション)が得られないのだ。
 
この英国娘は、米国娘と較べて、ピストンロッド が 一回り細くて、シリンダーボディは 一割近く細い。 細いロッドは 高荷重が加わった時にたわみ易く、ピストンとシリンダー間のフリクションを生み易く、一割程細い ボディという事は ピストン面積が 二割程度狭い事で、繊細なダンパーシム設定は難しくなりフリクションは生み易い。
その上に、部品の加工精度は 二回りほどのレベル差がある。つまり、“雑”なのだ。
  
でも、それら生まれつきの事には目をつむって、他のトコで何とかしてみようと、オーバーホール作業(分解整備)を依頼する時に合わせて三つの修正を加えた。
 
下の図は、そのオーバーホール作業から戻ってきたユニットだ。

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1. 基本ダンピング設定の変更

トラ(ストリートトリプル)の姉妹車:デイトナ675 の 車体アライメントへ変更するのに合わせて、ユニットも “ デイトナ675 ”用を購入したが、デイトナ675純正スプリングと同じレート(675 lbs/inch) のスプリングが入っていて、これが酷く高いレートなのだ。

実際に、ノーマルのディトナ675も所有しているが、675 lbs/inch (ポンド / インチ)は一般道の走行では全く楽しめない程に 高いバネレートなのだ。( ストリートトリプルは、525 lbs/inch )
だから、より低レートのスプリンづを幾つか一緒に購入し、交換しつつ試して、575 lbs/inch のレートのスプリングに落ち着いてはいたが、675 lbs/inch に合わせてセットされている本体内部の基本ダンピング設定では、それより数段低いレートのスプリングと特性が合う筈はない。

本体のオーバーホール(分解調整)に合わせて、本体内部の基本ダンピング設定を 低いレートのスプリングに合わせて調整を依頼した。

※ 調整ダイヤルで行なうダンピング調整は、ピストン速度が中間域の一定の範囲しか行なえず、基本特性は内部のダンピング機構(シムの組み合わせ)によって決まっている。ここ、よく誤解があるトコロだ。 


2. 低速域ダンピング仕様変更

基本特性はシムの組み合わせで変更するから、上記の スプリングレートに合わせた設定変更の上で、更に低速域で 5% 程度 基本ダンピング を下げる依頼をした。

以上の結果が 下の 2枚のグラフではっきりと見えるだろう。( 上が変更前、下が変更後 )

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3. スプリング交換

多くの人は サスペンションユニットの事を「ショック」と呼び、スプリング以外のダンパーが乗り味を変えると信じているが、サスペンションの基本はスプリングだ。

米国娘についていたスプリングは品質の高さで定評のあるブランド製品だったから、あの絶妙な味わいの一端はそのお蔭かも知れない・・・・ と考え、スプリング単体を購入して装着する事にした。

ちょっと雑な英国娘でも、あのドレスを着せれば ・・? のココロだ。

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『 最後に 』

以上がリアサスペンションユニットで行なった試行錯誤だ。
   
一般的には、リアサスペンションユニットを交換して、スプリングイニシャルを適正値に調整し、伸び側と縮み側のダンピングの基本調整値出しをすれば終了だと思われているだろうが、それでは宝の持ち腐れ、真の実力を発揮させているとは言えない。
  
十分な走行試験がされていない社外品だからこそ、自身で走行確認試験を行ない、適正なレートのスプリングを選択し、基本ダンピング特性の調整・変更を行なってこそ、その価格に見合った実力を発揮させられるのだ、
 
今回、様々な仕様変更を加えたけれど、どういう結果になるかはこれからの楽しみだ。
  
それから、サスペンションユニット、低荷重域からの動作フリクションを減らす試みを他にした事を発表する。 それは、スプリング事態が伸縮する時に付随的に発生しているフリクションを取り除く処理装置だ。

この件は試行中なので、別の機会に報告の予定。
うまくいくと・・ 良いけどな。


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トラ再走計画・リアサスペンション編 (その5)「純正部品が一番!?」

トラ再走計画・リアサスペンション編、とことん最良をつきつめていたら、社外製部品(以後:社外部品)の思わぬ “ 落とし穴 ”  につまづいたから、その経験を書く事にしよう。
きっと、多くの人は知らない事があると思うから、是非、期待して欲しい。

まずは、“ 純正部品 ” と “ 社外部品 ” の違いから。


『 純正部品が一番 !? 』

オートバイ好きの多くは、最初から装着されてる “純正部品” を外して “社外部品” へと交換して、その “社外部品” が性能や機能向上に繋がっていると信じ、ステータスのように感じているだろう。

僕も、目立たたない部品を始めとして “社外部品” へと交換している個所は少なくないが、次の事ははっきりと言える。

「 純正部品は、オートバイの基本性能やバランスには欠かせない、最も最適化された部品だ 」と。

その理由は、純正部品はテストして検証されるレベルが高いからだ。
つまり、純正部品は単品で専用機器を使っての長時間のテスト&検証だけに留まらず、実際に車両に装着して、テスト&検証が専門職業とした人達がテスト専用の試験設備を使い、繰り返し繰り返しテスト&検証を行なっているからだ。


『 タイヤもマフラーも、サスペンションユニットも ?? 』

例えば、純正で装着されているタイヤは、例え市販されている同メーカーの製品と名称やトレッドパターンが同じでも、その車両のアピールポイントを伸ばして欠点を隠す様に、タイヤメーカーに試作させる幾つかの仕様から選んでいる製品だから、純正装着タイヤの方が全体のバランスがまとまっているのが普通だ。

だから、市販の同名称のタイヤや他の銘柄のタイヤに交換した場合、雑誌の評論家は決して書かないけど、オートバイ全体のバランスは純正タイヤの場合と較べると崩れていると言ってもよい。

が、市販タイヤはタイヤメーカーが膨大なテストを行なっているからまだ良いが、社外品のマフラーの場合はもっとバランスが崩れるのが普通だ。
純正のマフラーは、年々厳しさを増す排気ガスや騒音の規制をクリアしつつ、エンジン性能や燃費などオートバイ全体の性能バランスを、専用試験設備で繰り返しテスト&検証しているほど、車両メーカーの良心とも言える製品だ。

しかし、社外マフラーの場合には、最も品質の高いマフラーメーカーであっても、車両メーカーほどのテスト&検証を十分な期間をかけては行なわないから、騒音などの規制適合テスト以外、実走行テストを十分に行なってオートバイ全体での性能バランスを取っているとは決して言い難い。

けれども、マフラーの場合は検証しやすいからまだマシかも知れない。
それが、リアサスペションユニットとなると、社外品は十分な検証さえしていないから、更に具合が悪くて困りモノだ。


『 ユニットストローク量は 54mm 必要なのですが ・・・ ? 』

トラ君の本名(正式名称)は、2007年型 トライアンフ ストリートトリプルで、リアサスペンション周りのアライメント(部品毎の位置関係)を、同じフレームとエンジンブロックの レーサーレプリカ車(SS車)トライアンフ ディトナ675 の部品を流用して、デイトナ675 と同じにしている。

まず、純正仕様でのリアサスペンションの可動幅を確認してみた。
リアホイールの可動幅(ホイールストローク)で 130 mmになっていて、その際のサスペンションユニットのストローク量は、実物大の模型を作って確認してみると、「リアサスペンション編 (その3)」で確認したように、約 54 mm だった。
http://youkaidaimaou.hatenablog.com/entry/2016/11/16/224503

そこで、実際に純正部品でストローク量(可動量)を確認をしたのが下図だ。

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中央部の棒状の部分がピストンロッドで、ユニットが縮むとこのロッドの分だけストローク(縮む)のだが、このロッド(露出)部の長さが 約 51mm。そして、ロッド部が全てストロークした後でバンプラバー(通常はゴムやウレタン製)がユニット本体に当たって更に変形する量が 3mm と考えれば 合計 約 54mm と 実証できた。

そこで、サスペンションメーカーに 54mmストロークの製品をオーダーした。
そこは 2000年から使用しているメーカーで、部品の工作精度の高さや低速のストローク速度域での圧倒的なフリクション(摩擦)の低さから、ずっと一番のお気に入りのメーカーだったのに、返ってきた回答は ・・・

「 54 mm の ストローク の製品はできません 」だった。
製品一覧表には、トラ君は適合車種として載っているのに ・・・なぜ??

ここに、専門メーカーといっても、純正部品のようにテスト&検証していない実態が ・・・。
詳しくは、「 リアサスペンション編(その6)」で !!


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トラ再走計画 ・ リアサスペンション編 (その4) スプリング 到着 !

トラ再走計画、長らく休載でした。   すみません!

書ける事はあったものの、仕様が決まらない事も重なり、
近々、そのサスペンション仕様について報告する予定で、
きっと参考になる方も多いと思います。   お待ちください。


そこで、その思考錯誤の結果、スプリング が到着した事を報告   ♪
( スプリングレート : 600 lbs/inch )

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リアサスペンションに限った事ではなく、様々な個所で発生するフリクション(摩擦)はオートバイ本来の(純粋な?)動きを阻害し、コントロールを難しくするもの。

特に、サスペンションで発生しているフリクションというヤツは、知らず知らずの内に人間センサーを歪め、ライディングを低品質にしてしまうから要注意。

リアサスペンションで発生するフリクションは、スイングアームのピポットシャフト部のベアリング部、リンク機構のベアリング部、そしてダンパーユニットのピストンロッドとシリンダーユニットとのオイルシール部、同じくピストンとシリンダー間、ダンパーユニットの上下の取り付け部、そしてスプリング単体でもその伸縮時に発生するもの。

それらの解決方法は様々だけど、スプリングは簡単。
スプリング本体をより安定した性能を低フリクションで作動する品へ交換するだけ。

更に、スプリング起因のフリクションを低減させるユニットも導入予定。
近日中に、ここに至った経緯を報告の予定だから、是非! 期待を !!


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「 声 」を聴かない ライディング

オートバイの運転は、誰かに教えてもらっただけで、
それだけで上達するわけがない。
オートバイとの会話を覚えて、それで上達するものだ。

それは ピアノを演奏する場合と同じだ。
英会話の上達ともよく似ている。

しかし、操作方法を伝えても、会話を教える人は居ない。
教習所しかりだし、安全運転講習会でもそうだ。
 
「 ちょっとタイヤのエア圧低すぎるのですが  ~~ !! 」
「 フロントフォークオイル、とっくに賞味期限が ~~ !! 」
 
そんな、オートバイからの「 声 」を聴かず練習するとは、
調律が狂ったままピアノコンクールの練習に励むのと同じ。
でも、安全運転競技会の練習でさえそれは普通の光景だから驚く。
ピアノは人を殺さないけど、オートバイは違うというのにだ。

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