妖怪大魔王・コバ法王の日記

NPO法人GRA代表、妖怪:小林が書く、オートバイや人生、社会や文化など、日頃思っている事です

トラ再走計画 ・ リアサスペンション ユニット 編

知人、「 いつになったら走れるのぉ ~? 」と、先日聞いてきたので、
僕、   「 そう、早くても 12月以降かな 」と答えた。

ただ走るだけなら、きっとそんな日数はかからない。
が、乗るのも楽しいけど、触るのも楽しいから仕方ない。

それに、この機会にトラを徹底的にブラッシュアップしておきたいし、
ブランクのある “ 腕 ” のリハビリも必要なのだ。
「 後ろの百鬼 」(どろろ)みたいな進行だけど、トラ、よろしく!


『 エコな仕様変更計画 』

さあ、次の整備個所は リアサスペンション ユニット。
 

オートバイの繊細なコントロールの為には、高い品質のリアサスペンションユニットが欠かせないから、オーダー仕様の社外品を使用している。
スプリングの品質性能、ダンパーの品質、そして定期委託するオーバーホール作業の品質、それらが走りの基本になるから、ユニットの選択には気を使う。

ただ、今まで トラ君に装着使用していたユニットではフリクション(摩擦)感が拭い取れず、トラ以前に利用していたメーカーの低フリクション感を忘れきれず、今は使用していないそのメーカー製ユニットを仕様変更して使う事にした。

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元々、オーダーメイドで仕様に合わせて部品を組み合わせる製品だから、利用できる部品も多く、新規にオーダーするよりも 予算は抑えられてエコというものだ。

でも、仕様変更指示書を作成するだけ、の段階で難問が浮上してきた。


『 想定違いの失敗! 』

最初に見えてきた課題は、ユニットのセット長 (全長) だ。
手元にある改修予定のユニットと較べ、トラ君のは 5ミリ 程短いので、仕様変更時の部品交換を少なくできる様に、トラの身体測定やユニットの確認など、一時間ほどアレコレと考えて解決方法が見えてきた時、致命的な問題を発見❗️

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それは、ユニットのストローク量の違い。
改修予定のユニットは 直リンク(フレームとスイングアームとに直接つなぐ昔からの形式)用に作られていて、トラ君のサスペンション形式はマルチリンク(複数のリンクを使いユニットを効率良く活用する方式)だ。

だから、ユニットに求められるストローク長が全然違い、改修予定のそれのストローク長は 約35ミリで、トラ君のそれには 約  55ミリは必要になる事が判明。

諦めます !
エコじゃあなから、少し迷っているけど、新規オーダーへ !
( ・・ それしか無いかな  ?)
 
 

フロントスプリング データ見本と概論

オートバイのセッティングをする上で、エンジンを除けば、一番やっかいなのはサスペンションのセッティングです。
そして、サスペンションのセッティングで一番難しいのは “ スプリング ” の選定です。


【 サスペンションの本質 】

有名ブランドのサスペンションへ換装する人達の多くが誤解している事ですが、サスペンションの本質は “ スプリング ”(バネ)なのに、「 ダンパー 」(減衰装置)の切替段数の多さは本質とすべきでありませんし、まして 「ブランド名」や「金属光沢や塗装」は本質ではありません。

スプリング ごそが “ 衝撃緩衝 ” の主役ですから、本来ならば 自身の体重や体格、走行条件などに合わせて 適切な スプリングレート (バネ定数)の スプリング を選択する事が 最も重要な事です。


【 スプリングの選択方法 】

その選択方法は、フロント および リア サスペンション 共に、実際に装着して乗って確かめるしか確実な方法はありません。

その際、リアサスペンション の スプリング 選択は比較的簡単です。
適当と思われる 数種類の レート のスプリングを手配しておき、順次 比較試乗すれば 必ず ベストに近い レートのスプリングは 見つけられます。

ただし、フロントサスペンション の スプリング は 難易度が一気に高くなります。
何故なら、フロントサスペンション は リア 以上に 様々な要素が求められている上に、ライダー自身が 直接手でサスペンション からの様々な意思(多くは微振動で)を感じ取っていて、その大小や特性によって ライダーの 感情や身体に影響して、ライディング自体が左右されてしまうからです。

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機会を改めて解説する予定ですが、この表は 私自身が所有する フロントサスペンション用スプリングの内、一部のスプリングのデータです。

スプリングレートは、本来ならば スプリングテスターで計測するのが最善ですが、所有していない為、すべて 計算で求めた “ 概算値 ” です。
また、初期の レートから 二次レートへと変わる “ 変換点 ” も、私なりの計算方法による値であり、実際に装着して試乗する際の参考値になるものです。

では、いつか サスペンション と スプリングの話、特に フロントサスペンションについて解説したいものです。

ただ、その前に、「 安定限界トレール(量)」の理解が必要になりますので、それが最初になりますね。

では!

トラ再走計画 ・ リアブレーキ編

5年を超える放置の結果、屋内保管にも関わらず、各所に不具合が出てきているトラ君。
やはり、オートバイは常に小まめな整備・調整が必要との教えでしょう。

さて、リアブレーキのタッチが悪くなっている事は報告の通りです。
ペダルを指で押しても、リアブレーキが作動するまでのストロークが大きくなっているのです。

さて、どんな魔物がいるのか探ってみました。

『 リアブレーキ、分解整備の巻 』

何事も外から見ていては判らないもの。
作業がしやすいように、リアブレーキ周りをそのまま取り外します。

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タッチが悪くなる原因は、大きく分けて 三つあります。
一つは、ブレーキの力を生み出す「マスターシリンダー」の不調。
二つ目は、実際にブレーキの力で減速させる「ブレーキキャリパー」の不調。
そして三つ目は、「マスターシリンダー」と「ブレーキキャリパー」の間で連絡役を担当している、「ブレーキフリュード(液」または「ブレーキホース」の不調です。

 

『 原因発見 ! &考察 』

という事で、最初に「マスターシリンダー」を分解してみれば、もうそこにトラブルの原因が顔を出したのです。
  
マスターシリンダーの中のピストンに錆が発生していて、その錆がブレーキフリュード(液)内に浮遊して、それがカップシールを痛めた為でしょう。
画像では、上段が交換前の古いセットで、ピストン本体の色が新品の交換部品とは違うのが判るでしょうか。
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では何故、錆が発生したかといえば、ブレーキフリュード(液)は高い吸湿性を持っている為に、放置期間が長かったのでブレーキング熱で蒸発・発散する事が出来ず、部屋に籠ってピストンに悪さをしてしまったのでしょう。
 
リアのブレーキフリュードは、最も安定性の高い DOT 5.1 を使用していたのですが、過信は厳禁という事ですね。
 対処は、シリンダー内をクリーニングして、インナーキット交換で大丈夫でしょう。
同時に、ブレーキキャリパー内のピストンを支える 2本のゴムシール部品と、ブレーキフリュード(液)を交換するのは当然です。
  
また、画像を見てもらえると判ると思いますが、ブレーキの力を生み出すために欠かせないカップシールが、たった 6000 ㎞の使用で、一番大切なリップ部(端部)の形状が変わってしまっています。
 
やはり、オートバイを構成する四つの要素、「金属」「ゴム」「オイル」「樹脂」では、今回の様に「ゴム」部品が最初に賞味期限切れになるのですね。


さあ、次は リアサスペンション と フロントサスペンション の整備が待っています。
 
 

トラ再走計画 ・ 旋盤工作編

前回の作業で、ようやくエンジンが再始動したというのに ・・・
「 トラ再走計画 」は、気が向くままに進んでいくようです。
 
しっかりと計画を立てて、テキパキと作業を進めたならば、
今頃は 公道再デビュー(?) していた筈! とは自覚していますが、
まあ、これも、あんなに打ち込んできたオートバイと競技の世界から、
完全に手を引いた5年以上の期間の余波だと思います。

見たくもないほど、よっぽど疲れてしまったのでしょうね。

< 閑話休題


『 旋盤工作の巻 』

そう、ガレージへ行き、気が向くままにした事は旋盤での工作でした。

旋盤には以前から憧れていて、トラ君がやって来て直ぐに購入したのです。
その理由は、輸入車の部品は高く、社外製の用品は少ないからで、
簡単な部品は自作する必要が出てきたのです。

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そして、今回作成したのが スイングアームに取り付ける、レーシングスタンド用の フックポイントでした。
もちろん、従来通り、スイングアームを下から支えるアタッチメントを使用し続けても良いのですが、何より雰囲気が出て良いし、スタンド使用時に車体を直立させやすく、整備作業時も少しやり易くなる。( と、理屈は後から出て来るものですが ・・・ )

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そして、完成した後で感じた事はいつもと同じ。
「 旋盤作業は少し苦手だなぁ ~ 」
思考錯誤しながら 随分と時間が掛かったから ・・・・
 
 
リアブレーキ周りの完全分解整備は次の機会に !!

 

 

 

トラ再走計画 ・ やっと再始動

前回までの作業で、シリンダー内へのオイル注入とカムシャフト付近(ギャラリー)へのオイル循環処理が終わり、点火プラグも新品に交換、エアクリーナーフィルターも洗浄&オイル塗布も完了。

懸案の クランクケース右カバーからのオイル漏れは、このトラ3気筒エンジンの弱点で、転倒すると細いカバー固定ボルトが大地の強引な誘惑に負けて曲がり、一緒にカバーを巻き添えにするのが根本原因だ。

とは云え、前回の修復が完璧でなかったのも間違いなし! (反省)
デブコン(アルミ粉含有エポキシ樹脂)で再度修正した後、カバーの合わせ面をオイルストーンで丹念に平面出しをする。
やはり! 引きずられたカバー君、よく見れば(性格)歪んでいたんだ!

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カバーを保護する自作カーボン製カバーも追加修正する。
カーボン層を 2プライ(層の数)ほど増やして  7 ~ 9 プライへと厚みと強度を増し、固定ポイントも 3か所まで増やしたから、以前より安心だ。

さあ、これで やっとエンジンを再始動へ進める。
トラ君、以前の実働期間 3年、総走行距離 約 6,000 ㎞ とは云え、6年間以上の放置(プレイ)を受けていた身だ。

すねていないか心配だ。
恐る恐るスターターボタンを押すと ・ ・ ・

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まるで、鬱憤(うっぷん)を晴らすかの様に、煙を勢いよく吐き出してくれた。 でも、安心だ。
シリンダー内に注入したオイルが燃えて出るオイル燃焼煙だ。

さあ、これでエンジンは一段落。
でも、まだ作業は多く残っている。

タイヤ交換は当然の事、前後ブレーキのマスターシリンダーやキャリパーピストン周りのゴム部品の交換、フロントフォークの分解整備など、経年劣化した部品の交換から主要箇所の分解整備は必須作業だ。

そう、リアサスペンションユニットを新規指定発注して交換もしなくては!
( いつになったら 公道を走れる? )

トラ再走計画 ・ 点火プラグ 後編

点火プラグの購入も済ませ、久しぶりにガレージへ戻る。
そこには 燃料タンクが外され、エアクリーナーケースも外され、
リレーユニットパネルがハーネス(配線)で吊り下げられ、
インテークポート(吸気口)には “猿ぐつわ” 代わりのガムテープ貼られたトラ君。

「 ごめん、ごめん、今日は少し楽になるからな 」

作業再開である。


【 オイル、少しは回ったかい? 】

点火プラグを外し、アルミパイプとビニールホースで作った “ 点滴セット ” をプラブポート(点火プラグ装着部)に差し込み、エンジンオイルと添加剤の混合オイルをシリンダー内へ注入する。

続いて、右側のクランクケースカバーを外し、火プラグは外したままの状態で、クランクシャフトを工具を使って直接回してやる。

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最初はゆっくりと、数回転。
120° 回す度に重くなるのは 4サイクル 3気筒エンジンの証。
( カムシャフトがバルブを押し開いている ! )
徐々に少しずつ軽く滑らかに回るようになってきた。

では! と、カムシャフトやシリンダーヘッド周りにもオイルを回すべく、回転速度を少し高める。
エンジンのオイルポンプは容積式だから、低回転でもオイルラインを通じてオイルをエンジン各部へと最低限は届けてくれるだろう。


【 要修理・クランクケースカバー 】

放置して再走作業に入るまで忘れていたが、トラ君には持病があった。
それは 右クランクケースカバー だ。

エンジンの性格はとても良いのに、右側へちょっと “ つまづいたり ” すると、直ぐに傷つきやすいのが玉に瑕(きず)なのが手に焼くところ。

つまづいてこそ上手くなれると信じるライダーのため、トラ君は 放置されている間、少しずつだけどオイルをポタリ&ポタリとコボしていたのだった。

保護用のカーボン製カバーを自作装着して対応しているが、持病は持病、簡単に治る生まれ(設計)ではない。
また、デブコン(アルミ粉配合、エポキシ系造形剤)で補修してやらなくては !

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エンジン再始動は次の機会だ ♪


【 エアクリーナーフィルター洗う 】

純正で装着されていたフィルター(一般的な乾式)は最初の 100㎞ だけ。
直ぐに、社外品の 湿式。エアクリーナーフィルターへ交換していたから、この機会に洗ってあげよう。

この湿式の良い点は 汚れても洗って再使用できる事だ。
地球環境に優しい? かどうかは別として、いつでも初期性能近くに戻せる点が嬉しい。

洗った後は、専用のオイルを塗布して終了だ。

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妖怪・小林 “妖怪” と呼ばれる前の 憧れで目標

妖怪になる前の1980年代末、
二輪ジムカーナ界のトップライダーの走りを目の当たりにして、
ますますライディングの世界へと魅了されてしまったのです。

それでは! と、最も競技人口が多く、競技レベルが高かった関東へ!
年明け早々から通い始めると ・ ・ ・ 。
当時、トップライダーの座にいた人からプレゼントを贈られたのです。
それが、この練習走行のデモテープです。

現代の車両(オートバイ)と比較すれば車重は重いうえに、
タイヤが細くグリップ限界の低いバイアスタイヤのために、限界の低い
車両ですが、現在のライダーでも真似が出来ない様な高度なテクニックが
披露されています。

 

妖怪・小林、“妖怪”と呼ばれる前の憧れ&目標